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所得税について、計算方法・税率などのまとめ

SNSで”働いたら罰金”などと揶揄された所得税。

納税は国民の義務とされている割に、義務教育でも十分には習わない所得税ですが、その計算方法や税率についてまとめてみました。

 

所得税とは

所得税とは、読んで字の如く、所得にかけられる税金です。

1年間の所得-個人事業主なら収入(収益)から必要経費を抜いた金額、会社員なら収入から給与所得控除を引いた金額をおおむね”所得”と言いますが、それから、もろもろの控除等をルールに従って厳密に計算して算出する”課税所得”に対して一定の税率を掛け合わせて算出されるものです。

 

なお、似た発音の言葉に“取得税(しゅとくぜい)”というものがありますが、これは売買や贈与で不動産を“取得”したとき、または新築・増築したときに都道府県が課税する不動産取得税という地方税のことですのでお間違いなく

 



 

復興特別所得税

東日本大震災からの復興のための財源確保として用意された特別な所得税です。

平成25年から、予定では平成49年(新元号18年頃)まで、通常の所得税と一緒にこの”復興特別所得税”を申告し、納付せねばなりません。

この特別税は、上記で説明した所得税の金額に2.1%の税率を掛けあわせて計算されることになっています。

また、同期間は給与などから源泉徴収が行われる際に、復興特別所得税も同時に徴収されることになっているそうです。

 

所得にはいろいろな種類があります。

“所得”は、いろいろな性質によって、おおまかに下記の10種に分けられています。

これらの各々に、収入や必要経費の範囲、またその計算方法などが決められています。

1.利子所得

2.配当所得

3.不動産所得

4.事業所得

5.給与所得

6.退職所得

7.山林所得

8.譲渡所得

9.一時所得

10.雑所得



個人事業主が働いて稼いだ所得は”事業所得”になります。

サラリーマンさんの収入は”給与所得”ですね。

あとは、日常的にはあまり意識に上らないですが、銀行口座をお持ちの方は利子を受け取る事もありますが、それが”利子所得”になります。

生命保険や最近では個人で株を買われている方も少なくないですから、もしかしたら”配当所得”も得られている方がおられるかも知れませんね。

これに、競馬・競輪で当てた方の払戻金や懸賞や福引きでもらった賞金なんかは”一時所得”になります。

その他、公的年金や執筆を仕事にしていない人が受け取った原稿料や印税などは”雑所得”になります。

あとは退職金をうけとった時の”退職所得”あたりが、日常的に関わる所得の種類ではないかと思います。

土地持ちの方なんかだと、”不動産所得”を毎年得ていたり、売買することで”譲渡所得”を得る事もあるかも知れませんね。

 

課税のバランスを取るための”所得控除”

税金をかけられる元になる数字である“課税所得”の金額は、あらゆる所得の中から、次にあげる“所得控除”の金額を引いた数字になります。
所得控除というのは、扶養の親族が何人いるのか?医療費はどの程度つかったのか?などの、納税者“個人の様々な事情”を考慮して、税の負担を調整する役割があります。

簡単に言えば、税金をかけるベースになる金額から、養わないといけない家族の数や病院に掛かったお金などの生活の中の負担を考えて、その分税金の負担を軽くする為に、いくらか引いてもらえる金額の事です。かけ算の元になる数字を小さくしてくれることで、納税額を抑える仕組みですね。

生命保険料や社会保険料、寄付を行った金額や医療費の支払いに掛かった費用などが対象になっています。

所得から控除してもらえる物には、以下の物があります。

雑損控除

医療費控除←年間で10万円を超えている場合はチェック。病院でもらう領収書は必ず保管しておきましょう。

社会保険料控除

小規模企業共済等掛金控除

生命保険料控除←年末に保険会社から証明書が届きますから必ず取っておく必要があります。

地震保険料控除←生命保険と同じく控除証明書が届きますので保管して下さい。

寄附金控除←ふるさと納税はここになります。

障害者控除

寡婦控除・寡夫控除

勤労学生控除

配偶者控除

配偶者特別控除

扶養控除←養っている家族の人数等に応じて決められます。

基礎控除(38万円)


所得税の税率と特殊な計算方法

税率は“超過累進税率”が適応されており、所得が多くなっていく毎に“段階的”に上がっていくようになっています。

税率は最小5%、最大で45%まで定められています。一覧にすると以下の様になっています。

195万円以下では税率5%

330万円以下では税率10%

695万円以下では税率20%

900万円以下では税率23%

1800万円以下では税率33%

4000万円以下では税率40%

4000万円以上では税率45%

一見すると、4000万円以上稼ぐと45%もとられるのかと思ってしまいそうですが、195万円までの収入には5%、196万円から330万円までの収入には10%と、全体の所得を分割して課税されていきます。

例を示すと、全体で650万円の所得があった場合、次の三段階で計算します。

A:195万円までは5%で計算

B:196万円~330万円までは10%で計算

C:331万円~650万円までは20%で計算

こうして段階的に算出されたA+B+Cの総額が所得税額になるんです。

 

所得税の計算方法

所得税を計算するには、まず総合課税分離課税損益通算を知らねばなりません。

これらの説明をしてから、実際の計算方法を説明します。

総合課税制度

これは、様々な所得の額を合計することで所得税額を計算していく方法です。

一般に”所得税を計算する”といえば、総合課税制度で行うことを指します

所得の中でも以下の物が対象になっています。

1.利子所得

2.配当所得

3.不動産所得

4.事業所得

5.給与所得

6.譲渡所得

7.一時所得

8.雑所得

 

源泉分離課税制度

源泉分離課税制度とは、他の所得とは分離して、対象になる所得が支払われる際に、一定の税率で源泉徴収が行われる制度です。

受け取る際にすでに源泉徴収がされますので、それでその所得に対する所得税の納税は完了します。

身近なところでは、銀行口座をもっていると発生する利息がありますが、あれが”利子所得”とされて、受け取る段階で源泉徴収されていますので、この制度で納税をしている所得になります。

 

その他、この制度の対象になるのは所得については、国税庁のホームページに詳しく掲載されていますのでそちらをご参照下さい。

 

国税庁ホームページ No.2230 源泉分離課税制度

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2230.htm

 

申告分離課税制度

上にも既に説明した通り、所得税は各種所得の金額を合計して総所得金額を算出し、これに税額を掛けて確定申告を行う事で税金を納める上記の総合課税で行われるのが原則です。

 

ですが、ある種の所得については、その他の所得と合計を行わず、それだけを分離して個々に税額を計算し、確定申告をして納税するものがあります。

全体の所得とは分離し、さらに確定申告をして納税することから、上の2つは別の申告分離課税制度と言われます。

 

この制度の対象になっている例には、

山林所得

譲渡所得-土地建物等の譲渡によるもの

    -株式等の譲渡によるもの等

利子所得-平成28年1月1日以後に支払を受ける特定公社債等の利子

雑所得-一定の先物取引によるもの

等があります。

 

損益通算

損益通算とは、各種所得金額の計算の際に生じた損失のなかで、一定のものについてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額と、分離課税の中から退職所得・山林所得の金額を算出する際に、その他の各種所得の金額の中から控除を行うことです。

損益通算を行える対象になっているのは以下の所得です。

1.不動産所得

2.事業所得

3.譲渡所得

4.山林所得

 

所得税の計算

さて、いよいよ本丸です。

所得税の計算は、まず“総合課税”分を算出します。

また、必要に応じて“分離課税”分も算出し、総合課税分離課税の中から山林・退職については損益通算を行います。

そこから、総所得の金額、それと分離課税分の山林所得・退職所得・譲渡所得・株式譲渡所得・利子所得の金額から、各々”所得控除額”を引いてやると、”課税総所得”の金額が算出されます。

ここに、上でも書いた段階的な税率を掛け合わせることで計算を行い、まず”算出税額”をはじき出し、最後に税額控除(例えば”住宅ローン控除”など)を引いた金額が、最終的な“申告納税額”になるのです。

 

非常にややこしく見えますが、ざっくり言えば“所得の総額“から“控除額”を引いた金額に税率を掛け合わせて計算しています。

 

所得税の税率

既に計算の説明の為に書きましたが、所得税の税率は詳しくは以下の通りなっています。

195万円以下 5%

195万円を超え330万円以下 10%

330万円を超え695万円以下 20%

695万円を超え900万円以下 23%

900万円を超え1,800万円以下 33%

1,800万円を超え4,000万円以下 40%

4,000万円 45%

既に説明していますが、4,000万円以上の所得がある場合でも、総額に45%が掛けられるわけではなく、この段階にしたがって、195万円までは5%、196万円~330万円までについては10%…と段階的に計算される仕組みになっています。

 

ちなみに、法人税は年800万円以下については中小法人で19%だそうです。

個人事業主さんが、所得の金額が大きくなってきたら、個人事業から法人化をすすめるというのはこういう税率の関係も背景にあるわけですね。

 

どこまでいってもややこしい税金のお話ですが、サラリーマンの方は、給与の支払いの際に源泉徴収をされていますから、上で説明した様々な控除についてしっかりと申告を行う事で、結構な金額を還付金として返してもらうことができます。

 

病院に行かれたときの領収書、年末に集中して届く生命保険や火災保険などの控除証明書などは、無くさないように大切に保管しておきましょう。